「FUKIYA」(RELATIVE PITCH RECORDS RPRSS011)
MASAYO KOKETSU
纐纈雅代のソロサックスアルバムで、テナーも吹くひとだが本作ではアルトに徹している。「吹き矢」というタイトルも意味深だが、全体で一曲(44分32秒)という構成も気合いを感じる。冒頭、いきなり八方破れなフラッタータンギングではじまるが、あとは出たとこ勝負のようにみえてじつはバランスを考えているようでもあり、とにかくフリーキーな部分があってもめちゃくちゃにはならず、なにからなにまでクールにコントロールされた即興に聞こえる(本人がどう思っているのかはわからない)。ただ、その根本にあるものが、ものすごい「たっぷりした情感」の世界であって、聴いていてその熱さに押し流されそうになる。パッションに満ちた、シリアスで、重い感じの演奏が延々続く。たぶん意識的にだろうが「和」を感じさせるメロディとか吹き方が本作のテーマなのだと思う。でも、このモチーフ(?)の展開だけで44分というのはなかなか難しいことでもある。