「LUSH LIFE」(WHAT’S NEW RECORDS WNCJ−2237)
是安則克
亡くなった是安則克さんは生前一枚のリーダー作も残さなかった。急逝に伴い、共演した大勢のミュージシャンから音源が提供され、一枚のアルバムがこうしてできあがった。死んでからでは遅いという意見もあるかもしれないが、私はたいへん意義深いリリースだと思う。ジャケットもすばらしいが、なんといっても内容がいい。9つの演奏が収録されており、それぞれリーダーがちがううえ編成も音楽性も異なるわけで、唯一の共通点はベースが是安さんというだけで(最後の曲はちがうけど)、普通に考えればバラバラのツギハギの作品が追悼盤としてできあがってしまうことになるが、それが見事に「是安則克のリーダー作」になっている。ベーシストというのは本来そういう役割を担っているものだ。そう考えてみればすごいベーシストだったのだと今更思う。ひとつひとつの演奏がどうこうというより、全体として、とても楽しい、そして重いアルバムになっている。ラストの林栄一の独奏もしっかり締めくくっている。このアルバムができるかぎり長い間カタログに載っていることを願う。