guy lafitte

「THREE MEN ON A BEAT」(BLACK & BLUE/SOLID CDSOL−46028)
GUY LAFITTE WILD BILL DAVIS

 もともとは同じブラック・アンド・ブルーのコブのリーダー作「テナー・アブラプト」での競演で知ったひと。ブラック・アンド・ブルーというとアメリカの黒人テナー(バディ・テイト、アーネット・コブ、イリノイ・ジャケー、エディ・ロックジョウ・デイヴィス、ハル・シンガー……)をフランスに招いてアルバム作りを行ったレーベルという印象が、そんななかでひとり地元フランスのテナー奏者としてがんばっていたのが、このギィ・ラフィットである(ガイ・ラフィットだと思っていたが、今回の日本盤の表記にしたがっておく)。禿げ頭と変な口ひげが売り(?)だが、そのテナーは、上記にあげたブラックネスあふれる、どちらかというとホンカー的な表現も多い黒人テナーの猛者たちに比べると、コールマン・ホーキンスの流れを汲む、というかベン・ウエブスターやレスター・ヤングなどよりは「ホーキンス!」という感じか。ビブラートのかけかたとかも一緒である(でも、ホーキンスの、あのひとつのフレーズをブゥワアーっと息で押してクレッシェンドさせるダイナミクスのつけかたはしないなあ)。これまたテナー奏者から大ブロウを引き出すことはだれよりも上手いワイルド・ビル・デイヴィスのオルガンと組んでいるのに、つり出されることなくマイペースでしっかり自分の音楽をやっている。音色は雄渾で、フレージングはコード分解とアルペジオをはっきり前に出した、斧で木を割るような力強いものだ。ワイルド・ビルの好演もあって、全体にええ感じの演奏が続く(選曲もいいと思う)。とにかくめちゃくちゃ上手いテナー奏者である。フラジオとか、サブトーンとか、どこを取っても文句なしである。ブルースも黒い。でも、やはり上記の個性の塊、必殺技の塊のような化け物たちに比べると個性の点では一歩か二歩遅れをとる感じなので、ブラック・アンド・ブルーのなかではけっこうしんどかったかもしれないが、いや、そんなもの比べるのが間違いなのである。アルヴィン・クイーンのドラムがすばらしい。この音楽が、たった3人で演奏されているというのはすごいと思う。タイトルのとおりである。ワイルド・ビルがかならずといっていいほど演奏する「ウー・アー・ディー・ディー・ディー」ももちろん演ってます。