「PERSONEL TESTIMONY[THEN AND NOW]」(PORTER RECORDS PRCD−1504)
BYARD LANCASTER
バイアード・ランカスターはあまり感心のないタイプのサックス吹きだった。主奏楽器がアルトとフルートだし、持ち替え楽器が多いし、これはおもしろそうだな、と思ったアルバムでもフロントが彼だと、まあ、やめとこうか……ということにこれまではなっていた。というわけで、どうもぴんとこないひとだったのだが、本作は、そんな彼のソロアルバム。それも、どうやらひとりで各種の楽器を操っての多重録音らしい。サックスソロというと聴かずにはおれないので、ただちに購入。「THEN AND NOW」という副題のとおり、1979年と2007年のそれぞれの演奏が半分ずつぐらいに収められているのだが、なるほど、こういう感じかあ……。どちらかというと、サックスよりもフルートが主になっているようだが、これがなんというかしみじみした演奏で、心を打たれるのである。ピアノもかなりフィーチュアされているが、これもなかなかよい。ヴォイスというかボーカルも、フルート同様しみじみとしている。ほかにピッコロ、バスクラ、ソプラノ、アルト、各種パーカッションなどを演奏しているが、どう考えても日本の音階と思えるようなものもあり、いろいろな意味で楽しめた。うひゃー、すごいっ! みたいなことはないのだが、何度も書いたように「しみじみ」です。