travis laplante

「THROAT」(AUM FIDELITY AUM061)
LITTLE WOMAN

 めちゃめちゃかっこいい! これはもう、大ヒットです。テナーとアルトの2フロントが凶悪でノイジーなエレクトロニクスサウンドのなかで咆哮し、のたうちまわる。1曲目を聴いたとき、深夜だったのでおもわずボリュームを下げてしまったほどだ。えげつなーっと最初は叫んだが、聴いているうちにどんどん快感になってくる。これは、あーっ、知らんミュージシャンの知らんアルバムを思い切って買ってよかったーっ、と思う瞬間である。そして、2曲目以降はちがったタイプの曲も並び、たとえば2曲目はサックスデュオで最初のドローンのような吹き伸ばしの部分など、フラッタータンギングなのかそれとも指遣いでこういう音を出しているのかとか考えて聴いてると楽しくてしかたがない。彼らのやりたいことがだんだん見えてくる仕掛けである。まるで賛美歌のようなバラード風の曲も、なるほどこうやればベースがいなくてもいいなあと思えるし、アナーキーなようでいて、聞き飽きない工夫も意外となされている。やはり、どこかにジャズの尾をひきずっている点も私の好みですが、ふたりのサックスがあまりに私の好みだし、ギターの破天荒ぶりや場面をズバリと変えてつぎのシーンへ進んでいくあたりの構築力もいいし、ここぞとばかりに暴れまくるドラムもすごいし、完全に気に入ってしまった。たとえば、ヴァンダーマーク+マッツとかヴァンダーマーク+マーズ・ウィリアムズなどを連想せずにはおれない、完全にリード楽器がメインの音楽である。いやー、たまにはディスクユニオンのあおりだけを信じて買ってみるもんですなー。気合いをいれたいときに聴くとよし。こういうのを聴くと、あー、ジャズだなあって思います。最後の曲のターザンがゲロを吐くようなボーカル(?)もいい。YOU TUBEで映像を観たが、まあ、気の狂ったような演奏で、ブロッツマンのマシンガンを連想させるようなパワーだった。応援しまっせ。なお、このグループはいろいろネットで調べたのだが、だれがリーダーあるいはリーダー格というのがないみたいで(ギターは途中で交代しているのでちがうとわかるが)、とりあえず便宜的にCDジャケットでいちばん最初に名前の出ているテナーのトレイヴィス・ラプランテの項に入れた。