「LEADBELLY」(SONY RECORDS SRCS6349)
LEADBELLY
レッドベリーはその奔放な生き様や波瀾万丈の人生については知っていたものの、演奏に接したのは随分遅くて、たしかカットアウトの輸入盤を買ったときだった。しかし、そのときは、渋いな、とは思ったが、先入観としてある波瀾万丈の人生やあまりに歌が素晴らしすぎて婦女暴行や殺人を犯したにもかかわらず何度も釈放されたとか後進(とくに白人フォークシンガーたち)に多大な影響を与えた、といった知識(?)があったものだから、なんやこれ、普通やん。こんな歌で殺人罪が帳消しになるのか? とびっくり、というかとまどった。そして、三年ほどまえにCDで同じアルバムを購入し、時々聴いてます。今回この文章を書くにあたって久々に聴き直して思ったのは、フォークシンガーということになっているレッドベリーだが、普通に「ブルースやん」ということ。私の好きな戦前ブルース、カントリーブルースとおんなじに聞こえる。だからいいのだ。もちろんブルース以外の曲も入ってるが、それも含めて、ブルースマンだと思う。私は、いわゆるアメリカンフォークは苦手というかよくわからん。レッドベリーが多大な影響を与えたというウディ・ガスリーをはじめ、ピート・シーガーもピーター・ポール・アンド・マリーもわからん。でも、レッドベリーは普通に楽しく聴ける。これはブルースだからだと思う。こういうことは個人的な問題なのでどうでもいいのだが、私のなかではこでちゃんと解消されているのだ。私はブルースに関する知識はほぼゼロなのだが、たとえば本作でも、ブラック・スネイク・モーンはブラインド・レモンがオリジナルなんだよね? と思って調べてみると、ブラインド・レモンよりも早く録音しているひとがいるのだ。私にはそんなことすらわかっていないのだった。あと、デス・レターは、サン・ハウスがやってるあれだよね? とか……。まあ、そんな感じです。