fred lonberg-holm

「TWO LIGHTBOXES」(LOCUST MUSIC LOCUST53)
THE PETER BROTZMANN TENTET(+2)、THE COME SUNDAY ENSEMBLE

 アナログ盤のみの限定発売だが、これはなんだかよくわからないアルバム。A面はブロッツマンのシカゴテンテットにゲストが加わった編成。B面はまた別のグループだが、メンバーはかなり重なっている。フレッド・ロンバーグ・ホルムのリーダーアルバム……のような気もするし、そうでない気もする(ロンバーグ・ホルムはチェロではなく、「ライトボックス」のオペレーターということになっている)。なにしろジャケットにはバンド名も誰がリーダーかも一切記載がない(一応、フレッドの項に入れておく)。しかも、レコードのレーベルは白紙で、どこかにまちがえて入れてしまったら二度と発見できないという不親切な作り。限定500枚だそうだが、なぜアナログで出したかもよくわからん。内容は言うことなしで、A面はまさにブロッツマンテンテット(ロイ・キャンベルとウィリアム・パーカーが加わって12人編成になっている)。音をへしゃげさせ、ねじまげるサディスティックな行為に耽溺するバリトンはたぶんマッツ・ガスタフスン、ストレートで豪放に吹きまくるテナーはブロッツマンだ。嵐のように吹きすぎていき、あっというま(ほんとにそんな感じ)で演奏は終わる。B面も同様。こっちは別の編成だが(カム・サンデイ・アンサンブルという名称で、ジェブ・ビショップ、マッツ・ガスタフスン、ケント・ケスラー、フレッド・ロンバーグ・ホルム、ケン・ヴァンダーマーク、マイケル・ツェラング……といったブロッツマンテンテット的メンバーに、よく知らないターンテーブル奏者、よく知らないボントロ吹き、それにかつてのヴァンダーマーク5のドラム、ティム・マルヴェナが加わっている)、内容は遜色ない。両面とも収録時間が短いのでCDに慣れた耳には物足りないが、じっくり聞き込むにはこの程度のほうがいいのかもしれない。また、じっくり聞き込むに耐える内容のアルバムである。 (ここからは後日書き足した部分)ものすごくええかげんな作りのLP。なにしろレーベル面はA面B面とも白紙なので、どちらがA面なのかもわからない。しかもA面はブロッツマン・テンテット+2、B面は「カム・サンデイ・アンサンブル」というよくわからないグループ。どちらも2000年のシカゴでの演奏だが、同時期のものではない。メンバーは重なっていて、シカゴテンテットのほうはリーダーであるブロッツマンのほか、ジェブ・ビショップ、ロイ・キャンベル(このひとのラッパが冒頭でいい味を出す)、マッツ・グスタフソン、ジョー・マクフィー(バルブ・トロンボーン)、ケン・ヴァンダーマーク、マーズ・ウィリアムズといったフロントにケント・ケスラー、ウィリアム・パーカーがベース、ハミッド・ドレイクとマイケル・ツェラングがドラム、そして、フレッド・ロンバーグホルムズがチェロではなく「ライトボックスのオペレーター」という立場で参加している。そしてB面のほうは、ジマブ・ビショップ、グスタフソン、ヴァンダーマーク、ケスラー、ツェラングがメンバーとしては重なっていて、そのほかにルー・マロゾニというターンテーブル奏者、セビ・トラマンタナというトロンボーン、ティム・マルヴェナのドラムが加わっている。そして、またしてもロンバーグホルムズが「ライトボックスのオペレーター」として参加。なるほどなあ、アルバムタイトルを考えても、この作品はフレッド・ロンバーグホルムズのリーダー作というか企画と考えてもいいのかもしれない(A面はあきらかに「ブロッツマン・テンテット+2」なのだが)。演奏のほうはというと、ブロッツマンテンテット+2のほうはいつもの感じで、ロイ・キャンベルのミュートトランペットがジャズっぽい響きのインプロヴィゼイションを朗々と吹く冒頭部から、クラリネットやソプラノがぴよぴよという場面、バリサクとおぼしき低音楽器の爆発的ソロなどなどて各管楽器がそれぞれの個性を発揮したコレクティヴな即興から、ブロッツマンが登場すると例のゴゲゴゲというソロを吹きまくり、思わず手に汗握る場面や、おおっ、と感心する場面などをちりばめた、なかなかの力演。レコードではなくCDででていたらもっと多くのひとが聴けたのにと思う。B面はA面にくらべるともっと自由度が高い、抽象的な瞬間が多い即興で、トロンボーンが活躍する。でも、基本的な感触はよく似ていて、こうして別々のグループを同じレコードの両面に入れてあってもほとんど気にならない。そにれしても「ライトボックス」というのはどこにでてきたのだろう。そもそもライトボックスとはなんぞや。ネットでよくあるあのライトボックスとは関係ないのか。自作楽器の一種なのか。さっぱりわからん。