emanuele maniscalco

「MANISCALCO BIGONI SOLBERG」(ILK MUSIC ILK241CD)
MANISCALCO/BIGONI/SOLBERG

 アクセル・ドナー〜マーク・ソルボーグ〜シモン・トルダム〜芳垣安洋のライヴのときの物販で買ったアルバム。リーダーはピアニストエマニュエル・マニスカルコ。サックス〜ピアノ〜ギターというトリオ。室内楽的な、きっちり書かれたアンサンブルの曲も多く、どこからどこまでが譜面でどこからが即興なのかという境があいまいな演奏もあって、そういうのの3者の動きを聴くのも楽しい。サックスのひとはクラリネットも吹き、よりいっそう室内楽的な雰囲気が高まる。微妙な、というか微妙すぎる音の重ね方の曲もあって、なかなか過激である。牧歌的といってもいいぐらいのフォーキーな曲もあるが、一筋縄ではいかない。「現代音楽的」とくくってしまうといろいろなものがこぼれ落ちてしまいそうだ。たとえばサックス(とクラリネット)のひとはクラシカルな奏法からはみ出たようなざっくりした吹き方をするひとで、そういう幅の広い表現のなかにいろいろなものが隠れていそうだ。全体にジャズ的な表現も強く感じられ、ところどころノイズにまで踏み込んだ部分もあって、これがこのあとどう発展していくか興味が持たれる。購入してから、なーんかわからないがすごく気に入って、折に触れて聴いている一枚。

「FOIL」(ILK MUSIC ILK281CD)
MANISCALCO/BIGONI/SOLBERG

 上記グループの2枚目(だと思う)。前作とコンセプトは同じで、現代音楽的なコンポジションと即興の融合ということだと思うが、とにかく曲がめちゃくちゃかっこよくて何度聴いても感動する。名曲揃いである。そして、たった三人しかいないのに驚くほどの広がりと深みがあってすばらしい。クラリネット〜サックスのひとは1作目よりも凄くて、すさまじいタンギングやら音色の微妙な変化やら表現力の幅が圧倒的だ。このひと、まじ凄いです。アルバム単位としても、ここまですごいとなにも書くことがない。サックス、ギター、ピアノのこの一体感と緻密なアンサンブルを聴いていると、書いてあるのか即興なのかというようなことはどうでもよくなる。この透明な緊張感は癖になる。ここになにかを足すことも引くことも不必要だ。すごいすごいすごいすごい、あー、すごい。とわけのわからないことを言いながら、また今日も聴いてしまう。傑作。1枚目(これも傑作なのだが)よりも好きかも。ほんと、音楽っていいな、とつくづく思います。