「GOLDEN ATOMS」(SOUL NOTE 121483−2)
DUOLOGY
クラリネットのマイケル・マーカスとトランペットのテッド・ダニエルのデュオである。マーカスは、クラリネット、バスクラ、テナー、バリトン、サクセロ、ストレイトテナー、ストレイトアルト、マンゼロ、ストリッチ……などを駆使してローランド・カークばりに同時演奏をしたりするのを売り物にしていたが、なぜかこのアルバムではクラリネット、それもバスクラでない、普通のクラリネット一本で勝負している。しかも、ラッパとのデュオということで、フリーインプロヴィゼイション的な演奏かと思っていたら、きちんとしたコンポジションだった(作曲は半々ぐらい)。うーん、これはすごい。テッド・ダニエルはロフト時代から活動しているベテランで、もう65歳ぐらいのはず。マーカスも、ブルースやR&Bのバックをつとめていたころから考えると、かなりのキャリアを積んだミュージシャンで、そういったふたりがこうして管楽器だけのデュオを行ったのだから、ふたりの音楽的な研鑽というか長いあいだの積み重ねが音と音のあいだからにじみ出して、見事な出来映えとなっている。ギャーッとかグエッーとかいう場面はほぼ皆無で、ふたりが寄り添って、ひとつの音楽をつむいでいく。これまで感心したことのないテッド・ダニエルというひとも、こうして聴くと、なるほどたいしたもんだなあ、と思った。なお、このアルバムは「デュオロジー」としては二枚目のアルバム。一枚目は未聴です。それと、対等のデュオだと思うが、先に名前の出ているマイケル・マーカスの項に入れた。