「BUDDY」(TEXTILE RECORDS TCD24)
THE RAYMOND MCDONALD INTERNATIONAL BIG BAND
レイモンド・マクドナルド率いるインターナショナルビッグバンドの江古田バディーでの録音。その名も「バディー」である。12人編成だが、管楽器の数は決して多くない。しかし、筝やヴォイスやチューバといった楽器も含めた全員が緊密につながりあい、非常によい形で前面に出ているので、本当に「ビッグバンド」という感じがする。フリージャズ的な大編成のグループは、編曲過多で縛ってしまうか、集団即興でぐちゃぐちゃになるか、どちらかにふれる場合もあるが、このバンドは刺激的なコンポジション・アレンジが適度な枠組みとなり、ソロイストの奔放さを抑制することなく大胆に解き放ち、なおかつ音量のダイナミクスや一曲のなかでの緩急、激しい演奏から静寂を押し通すふり幅もすばらしく、なによりもめちゃくちゃかっこいい。メンバーも今から考えるとすごいが、まあ当時でもすごいメンバーだっただろう。出自の異なる楽器を絶妙に組み合わせることで得られる効果は最高である。これだけインプロヴィゼイションの醍醐味とコンポジションの醍醐味が合体した演奏は長いフリージャズの歴史においてもそれほど多くはないだろう。2曲入ってるスモールグループでの即興もスリリングです。内容が似ている、というわけではないが、全体的に非常に伝統的なものがベースにあるように感じる。それは具体的に言うと、ドルフィー的な姿勢やミンガス的な姿勢である(ただの勘違いかもしれませんが)。ラストの「ザ・ビッグ・トー」だけは真っ向勝負のガッツあふれる楽しくかっこいいビッグバンドジャズで、締めくくりにふさわしい。このドラマチックな音楽を聴くのは一種の法悦であり、帯に「江古田の奇跡!!」とあるのもうなずける。全員が均等(?)に貢献しているまぎれもない傑作!