ray mcmorrin

「RAYMACK」(TRUTH REVOLUTION RECORDING COLLECTIVE TRR029)
RAY MCMORRIN

 全然知らないひとだったが、なにを思ったのか、ディスクユニオンの店頭で試聴して購入してしまった。週刊チャートで4位と書いてあって、うーん……買ってみようかなと思ったのだが、そのときは1曲目のソロの冒頭が突拍子もないフラジオの音域ではじまり、そこから構築していくあたりの大胆さとか、フレーズがメカニカルかつぶっきらぼうで、音色なども含めてちょっとグロスマンっぽいなあとか思ったのだが、帰宅してちゃんと聴いてみると、2管編成のすごく真っ当な、ストレートアヘッドなモダンジャズで、70年代の香りもする「ジャズ」だった。全曲、リーダーのレイ・マクモリンのオリジナルで固め、2曲はCメロも吹いている意欲作で、本人のソロはところどころ調性を越えそうになる勢いというかアバンギャルドなパッションを感じさせるところもあるのだが、ほかのメンバーはめちゃくちゃ上手いうえに手固い。あだ名が「レイマック」でタイトルにもなっているが、ああ、もうちょっとギャーッと吠えてくれたらいいのになあ、と私のような好みのものは思うが、ふつうはこのぐらいが適切だと思う。まあ、師匠がジャッキー・マクリーンだからな。ドラムとデュオのパートが何カ所かあるが、そういうシチュエーションでもけっしてフリーキーにならず、しっかりとフレーズを積み上げていく(もちろん相当パッショネイトにはなる)。テナーのマウスピースは、私は見たことがないやつで、なんだかよくわからない。奥さんとともに日本に引っ越したそうだが、それなら生で聴く機会もあるだろう。なお、かなり詳細で熱いライナーをスティーヴ・デイビスが書いている。