「BLUE MITCHELL」(BOPLICITY RECORDS CDBOPM029)
BLUE MITCHELL
メインストリームで出ていたやつの再発。タイトルがなにしろ「ブルー・ミッチェル」だから、だれの作品かはよくわかる(「ソウル・ヴィレッジ」という名前でも知られているらしい)。なんでこんなもんを買ったかというと、ジミー・フォレストが入ってるから。ピアノ(とエレピ?)はウォルター・ビショップ・JR。ダグ・サイズというドラムがすごく上手い。1曲目はジャズロックでええ感じの曲だがあっというまに終わる。2曲目は4ビート。3曲目はカリプソっぽい。4曲目はボサノバ風(これだけベニー・ゴルソンの曲で、あとは全部ミッチェルののオリジナル。ええ曲書くよなあ、このひと)。ラストの5曲目もボサっぽいが、変なテーマのリフ曲。という風にかなり曲調がバラエティに富んでいる。これはもちろん71年録音という時代的なマーケットを意識してのことだろうが、今の耳で聞くと、フォレストを含む全員がそれらにうまく対応しており、しかも、イナタい感じも非常に良くて、すばらしい。ミッチェルのソロはホレス・シルヴァーグループのときよりもシリアスかもしれない。めちゃめちゃ上手い。そして、ジミー・フォレスト! この太い音、艶やかな音色、コードをしっかり縫うようにしながら、個性を感じさせ、しかもハードにドライヴするフレーズ、強烈なリズム感……ああもう最高ですね。裏ジャケットを見ると、このころからもうリンクからラーセンのメタルに変えていたことがわかるが(音を聴けばすぐわかるが)、いやーすばらしいです。というわけで、とにかく全体で30分くらいしかない超短いアルバムだが、楽しいし、トランペット吹きやテナー奏者にはいろいろ得るところのある好盤だと思います。