takashi miyasaka

「ANIMAL’S GARDEN」(ALM RECORDS AL−3007)
MIYASAKA+5

 宮坂高史の初リーダーアルバム。「アニマル・ガーデン」というタイトルどおり、板谷博(なぜか、二箇所で名前が誤記されていてかわいそうである)沢井原児、松風鉱一という個性の塊のようなフロント陣を後ろからプッシュしまくる宮坂は猛獣使いのようだ。しかも、曲がどれも最高で、ドラマーなのにええ曲書くなあ。曲と個々のソロが有機的に結合し、きちんと「バンド」になっている。こういう感覚は二作目「ソウル・トマト」でも感じられるが、もっともっと評価されてよいアルバムだ。今回、久々に二回続けて聴いてみて、ああ、あのころの日本ジャズはよかったなあ、という感慨にひたったが、いやいや、今の日本ジャズだって良い。つまり、いつだって良いものは良い。悪いものは悪い。聞き手としては、自分のアンテナにビビッときたミュージシャンのライヴに足を運んだり、作品を聴く、という作業を続けていくしかないのだろう。

「SOUL TOMATO」(AKETA’S DISK AD−12)
MIYASAKA TAKASHI QUINTET

 これはほんとうによく聴いた。宝物のように大事にしていた、いや、今でもしているアルバム。一曲目、ずっしりと重いドラムとピアノのリズムに乗って、めちゃめちゃかっこいいテーマのモーダルなナンバーがはじまる。井上淑彦のソロが最高で、はじめて聴いたときはもうかっこよくてかっこよくて死にそうになった。このアルバムの魅力は、この一曲目に凝縮されているが、ほかの曲も全部かっこよくて、「アニマルズ・ガーデン」でもそう感じたが、リーダーの宮坂高史の作曲者としての能力の高さに感激する。参加ミュージシャンは全員、実力を発揮しまくっていて、80年代の日本ジャズがいかにすばらしかったかを示してくれる。こういう凄いアルバムを知らずして、80年代のジャズは低迷していた、とか抜かすやつはアホである。もうとにかくひとりでも多くのひとに聴いてもらいたいなあ。こんなすごいアルバムを作ったひとが、最近はほとんど(ぜんぜん?)活動していないのは悲しい(と思っていたら私が知らなかっただけで、ひと前叩いていないだけだそうです。よかった!)。本作は傑作です。とくにテナー吹きにとっては宝の山! どうやらまだアケタの店の通販で買えるようだが、皆さん、ぜひ聴いてください。