「LIKE RAYS」(KNITTING FACTORY RECORDS KFR−224)
JOE MORRIS・KEN VANDERMARK・HANS POPPEL
最初に聴いたときと二回目以降の印象がすごく変わったアルバム。そういうことはたまにある。最初は、ドラムもベースも入ってないし、ヴァンダーマークもクラリネットに専念してて、サックス吹いてないし、いまいちだなー、と思って記憶があるが、そのままほったらかしにしてあって、しばらくしてから、久々に引っ張り出してきて、大きめのボリュームで聴いてみると……おおっ、これは凄いではないか。ジョー・モリスのギターもすごいし、ピアノもよい。ヴァンダーマークもクラ一本で(ほんとはバスクラも吹いてるので二本だが)がんばっている。めちゃめちゃ盛り上がる瞬間があちこちに用意されていて、ほんとに楽しい。ドラムやベースがないだけ、浮遊感が全体に強くあって、聴いているとココロが遊ぶ。けっこうえげつない場面も随所にあり、さすがである。タイトルもいいよね。「閃光のごとく」……って意味だと思うけどちがいますか?
「REBUS」(CLEAN FEED CF083CD)
JOE MORRIS/KEN VANDERMARK/LUTHER GRAY
ジョー・モリスとヴァンダーマークとの共演盤はこれまでにもいくつかあるが、私はそれらから推し量って、本作ももうすこし純粋即興寄りの演奏かと思っていた。しかし、聴いてみると、ヴァンダーマークが久々に炸裂しているし、モリスもグレイもよく、これは傑作かもしれない、と手に汗をにぎりながら最後まで聴きとおした。ええんちゃうの! 曲もいいし、個々のソロやからみもばっちりで、なにより迫力とスピード感がある。現在の彼らの好調さを象徴しているような好盤だ。ヴァンダーマークはこういうセッティングの演奏をもっとガンガンやってくれ。 いやー、最高です。6篇の即興が並ぶが、どれも上質で繊細であるのは当然として、たいへんな迫力がある。これは、ヴァンダーマークがテナーに専念しているのも大きな理由ではないだろうか。これは最高のトリオですね。今回、この項を書くために聞きなおしたが、二日間で5回聴いた。飽きないですねー。いろんなことがぎゅっと詰まっていて、たとえばテナーでの即興の場合、ひとつのリフに延々こだわるやりかたとか、音色を際立たせるやりかたとか、そういった具体的レベルでもいろいろためになった。