「SWEET SISTER FUNK」(P−VINE RECORDS PCD−23441)
RAMON MORRIS
よくしらないテナーマンの唯一のリーダーアルバム。一時はジャズメッセンジャーズのメンバーだったというが、そんなん聞いたことないなあ。このアルバム自体は、グルーブマーチャントのいわゆるソウルジャズで、ドラムにミッキー・ローカー、トランペットにセシル・ブリッジウォーターなどの有名どころが入っていて、その他のメンバーも手堅くてよい(とくにベースのひと。当時としては、かなりファンキーなベースを弾く)。となると、問題は主役のテナー奏者レイモン・モリスということになるが、この人がめちゃめちゃかっこええのである。ホンカーのように、ホンキングやスクリームはしないが、図太い、ファンキーな音色で吹きまくる。なにしろ、音がいい。一音吹くだけで、説得力のあるタイプである。フレーズもなかなかおいしい。リズムに対するノリも軽く、柔軟で、全体としていかにも(当時として)新時代のファンクジャズだったにちがいない。感じとしては、ちょっとラスティ・ブライアントっぽいかなあ。私はとても気に入りました。しかし、これだけうまい人が、消えていかざるをえないなんて、音楽シーンというのはきびしいなあ。ジャズの世界もお笑いの世界も小説の世界も、どれもきびしい。