「KAMUYCHIKAP GOD’S BIRD」(モシリ企画 MCD−001)
モシリ & 坂田明
一般のレコード店では流通せず、通販のみで販売されたものらしい。アドイというアイヌのミュージシャンが結成したモシリというグループが、坂田明をゲストに招き作り上げたのがこのアルバムらしい。調べてみるとなんと12枚も出ていて、そのほとんどに(すべてに?)坂田明は加わっているのだが、私が聞いたのはこの1枚目だけだ。たとえば一曲目などは、シンプルなメロディラインにムックリのびよんびよんという心地よいリズムを押し出した、プログレを思わせるような音絵巻になっており、すごくかっこいい。坂田明もフリーなアプローチは一切せず、ひたすらボーカリストのように歌い上げることに専念している(ほかの曲でもそう)。70年代のファンクジャズのようでもある。しかし、本作における最大の力作は6曲目の「アイヌ神謡ムジナとクマ」と題された作品で、アイヌ伝承の神話を歌い手が非常に短いメロディに載せて微妙に変奏しながら延々と歌っていくものなのだが、アイヌ語がわからないし、メロディもずっと一緒だし、ソロとかもないので、これはわけわからんなあ……といいながらそれでも聴き続けていると、だんだんトランス状態になってくる。そういう音楽として聴けばよいのだろうが、これはしょっちゅう聴くというわけにはいかんなあ(18分近くあるのだ)。でも、非常に、なんというか、熱いメッセージは感じました。