「登川誠仁 & 知名定男」(RESPECT RECORDS RES−79)
登川誠仁 & 知名定男
うちにある沖縄関係のアルバムもオムニバスを入れるとけっこう増えてきたが、どれがよくてどれがそうでもないのか、私のアホな耳には判断がつかない。正直言って、あの沖縄音階が聞こえてきて、そこに、いい感じのボーカルが乗ってきたら、どれもよく思える。マニアではないので、大工哲弘とかこのアルバムの主人公である登川誠仁と知名定男とか、名前の通ったひとのものしか買っていないので、内容はいいに決まってるが、そのなかでもとくに、このアルバムはめちゃめちゃよく思える。何度聴いてもほれぼれする。ダイナミックで、深くて、リズムがキラキラしていて……ほんとうにすごい。このひと(登川さん)の自伝を読んだが、ものすごくおもしろかった。こういう自信はどこから来るののかなあ。自信にあふれた、こういうひとのことは心底うらやましい。私はいつも、自分の小説はヘタだヘタだと思っていて、こんな風に、俺よりうまいやつなんかいるわけない、と言い切れるひとは、きっとそれだけ、演奏も気迫に満ち、充実しているにちがいない。このアルバムはその見本といえるでしょう。一曲のなかでリズムとかが変化していくところも、「デュオ」という感じがひしひしと伝わってくる。なるほどなあ、たしかにこれは「遊び(あしび)」なのだなあとわかる。ジジイふたりの演奏だが、枯れていていいなあ、なんてことはまったくない。壮年のようなエネルギーとパッションを感じる。