tom olstad

「CHANGES FOR MINGUS」(PONCA JAZZ RECORDS PJRCD113)
TOM OLSTAD

 ははあ……こういうやつか。トム・オルスタッドというドラマーが、ミンガスの曲ばかりを演奏したアルバム。このひと、よほどミンガスが好きらしくて、本作はミンガスとダニー・リッチモンドに捧げられている。テナーとラッパの二管で、一曲目はフォーバス・フェイズルスではじまるのだが、ミンガスのあのアクの強さや、エグさ、ディープさなどを要求すると物足らないかもしれないが、なかなかどうして聴き応えがある。というのも、リーダー以下全員がミンガスの音楽が好きだっ、という思いがひしひしと伝わってくるからだ。ゲストにカーリン・クローグが入っていて、「グッドバイ・ポーク・パイ・ハット」を、ジョニ・ミッチェルの歌詞ではなく、ローランド・カークが「天才ローランド・カークの復活」で歌っているカーク作詞の歌詞で歌っているのもすばらしい(この曲が聴きたくて買ったのだが)。メンバー的には、トランペットのひとがめちゃめちゃうまい。テナーはもうすこし個性があればなあ、と思ったが、「ポーク・パイ・ハット」でボーカルのあとでうねるように出てくるところなどは、カークの雰囲気が出ていてよかった。選曲もいいし、全体にあっさり感はいなめないが、悪くありません。