「THE JAZZ CORPS FEATURING ROLAND KIRK」(PACIFIC JAZZ
PJ−10116)
THE JAZZ CORPS UNDER THA DIRECTION OF TOMMY PELTIER FEATURING
ROLAND KIRK
トミー・ペルティエという西海岸のトランペット奏者が率いる「ジャズ・コープス」(生協かい!)というグループにローランド・カークが客演したアルバム。もともとは2管でピアノのかわりにバイブが入ったオーソドックスなクインテットなのだが、リーダーのトミー・ペルティエというひとはいかにもウエストコーストならではのアレンジを重んじるタイプで、ソロもちゃんとしているが、全曲、彼のペンが聞きどころであり(作曲もアレンジも全部このひと)、また、逆に枷になっているような気がする。日本盤ライナーを読んでいると、「初めはフリー指向のプレイを行っており」とか「オーネットの影響を感じさせる集団即興的なサウンドを耳にすることができる」とかあるが、とても信じられないほどお行儀のいい、かっちりした演奏である。カークのソロは一曲目はバリトン、二曲目はフルート、三曲目はストリッチ、ベースとドラムをフィーチュアした4曲目はたぶん不参加、5曲目はフルート(このフルートソロがいちばんすごい。というか、いつものカーク)、6曲目はバリトン(なかなかすごい演奏)、7曲目はようやくテナー(レギュラーのサックスのひとがテナーで、けっこうエグ目のモーダルなソロを吹く)だが、ソロは短い。8曲目はレコードでは編集されていた曲のノーカット版だそうだが、超アップテンポ。カークはテナーで壮絶なソロを吹きまくり本領を発揮するが……うーんやっぱり短いなあ。リーダーのトミー・ペルティエはすぐにこのバンドを解散して、トランペットを吹くのをやめてしまい、ギターやボーカルに転向したらしい。なんじゃそれ。ちなみに、日本盤ライナーで「(カークが)バリトン・サックスを吹いたという記録は、これ以外にはほとんどない」とあるのは、もちろんそんなことはありません。まあ、「ほとんど」という言葉をどう解釈するかにもよるけど。ライナーノートなんか信じるな!