ralph peterson

「ALIVE AT FIREHOUSE 12−VOL.1 THE UNITY PROJECT」(ONYX)
RALPH PETERSON

 オルガンの入った2管のカルテットによるライヴで、リーダーがラルフ・ピーターソン、しかも、テナーがクレイグ・ハンディときけば、たとえCD−Rでもただちに買わざるをえないでしょう。しかも、ジャケットの作りにしても録音にしても、とてもCD−Rとは思えない上質のものであります。内容は、これがまためちゃめちゃいい。重量感溢れる演奏で、グロウルするジェイク・シャーマンのオルガン(このひと、かなりいい)、ドスのきいたクレイグ・ハンディのテナー(私のアイドルのひとりです。あいかわらずガッツのひとやなあ。ソプラノも軽妙でいいですねー)、トランペットは(曲にもよるが)なかなかがんばっているし(とくに「オールド・フォークス」と「レキシズ・ソング」あたり)、それらを煽るラルフ・ピーターソンのドラムはえげつない……こういう無骨な熱気のあるジャズは、今のニューヨークジャズのような「しゅっとした」ものとは違った、下世話で下品でどろどろしたマグマのような情熱と迫力がある。とにかくかつてあれだけメジャー感のあったラルフ・ピーターソンはフォテット以外にもこうして今も地味に着実に演奏活動を続けていて、しかもそのドラムは、あいかわらず巧妙に、ひたぶるに、共演者を刺激しまくるタイプのすごいものだということがわかった。このひとと共演するのはたいへんだろうな。いつ、どんな無茶苦茶なプッシュをしてくるかわからんし、それにおたおたしていたらソロイスト失格だ。エルヴィンやブレイキーとはちがった意味で、かなり鍛えられることまちがいない。いわゆる「お互いわかりあったうえでの激しいインタープレイ」とかいったものとはちがった、かなり一方的で無理矢理な「煽り」が来る瞬間がある(もちろん、そうでない、ちゃんとした、盛り上げるためのバッキングもやってて、それもめちゃめちゃうまいけど)。それがどうした、なんの意味がある、音楽を潰すことになるじゃないか、といった意見もあるだろうが、そういう刺激が「なにか」を作るときがあるような気がする。ジャズって、こういう「一か八か」みたいなことがあってもいい音楽のはずなのだ。で、聞きおえて気が付いたのだが、タイトルの「ユニティ・プロジェクト」というのはつまり、あのラリー・ヤングの「ユニティ」のことなのだ。オルガン入りカルテットで「ムーントレイン」(やっぱりええ曲や。ソロも全員めちゃかっこええよ)もやってるし、なるほどなるほど。なぜ、今「ユニティ」なのかはわからんけど。ジャケットの絵は「ムーン・オバー・ジ・アトランティック」というタイトルだそうで、青を主体にした幻想的なものであります。ジャケットのどこにもレーベル名もなにも書いてないのでディスクユニオンのページを見るとオニックスとあったのでそうしておきました。私のように、ラルフ・ピーターソンが好きで、クレイグ・ハンディが好きなひとなら聴いて損はないですよ。かなりの傑作ではないかと思う。私は相当気に入りました。