enrico rava

「ENRICO RAVA・GEBHARD ULMANN・ANDREAS WILLERS・MARTIN LILLICH・NIKOLAUS SCHAUBLE」(NABEL 4632)
ENRICO RAVA・GEBHARD ULMANN・ANDREAS WILLERS・MARTIN LILLICH・NIKOLAUS SCHAUBLE

 タイトルがメンバー全員の名前、という愛想のないアルバムだが中身は最高。ずいぶん昔に買ったものだが、久しぶりに引っ張り出してきた。かっこいい! めちゃめちゃかっこいい。ファンクっぽい曲や明らかにマイルスっぽい先鋭的な曲も多く、そういった曲でのラヴァは、じつに繊細かつパワフルで、しかも知的かつパッショネイトなソロを吹きまくり、空間を支配してしまう。いやー、マイルスよりええんちゃう、という言葉がうっかり口から出そうになったではないか。そしてゲバルト・ウルマン! すげーっ! めっちゃすげーっ。コルトレーン的でもありウェイン・ショーター的でもありグロスマン的でもありフリージャズ的でもあるが、なによりゲバルト・ウルマン的である。音色といいアーティキュレイションといい、かっこよすぎる。惚れた! 惚れなおした! ドラムもすばらしく、手数の多いひとで、バンドをプッシュしまくる。エンリコ・ラヴァといえば、ショーフ、ホイーラーとならぶヨーロッパ初期フリーの3羽トランペットで、レイシーとの「森と動物園」のひと、という程度の認識がいまだになされているのではないかと思うが、まずはECMその他のレーベルに数多く残されているさまざまなタイプの演奏を聴かねばなりません。そういうなかでラヴァがいかに先鋭的で前進的、意欲的、かつ最先端のプレイを繰り広げているかを知れば、ここでスペーシーな演奏も納得だろう。これは名盤です。なお、ウルマンのコンポジションがほとんどであることや聴いた印象などからも、ウルマンのリーダーシップのもとにラヴァをリーダー格のゲストに迎えたような作品と考えるのが妥当だとは思うが、一応ラヴァの項にいれた。