joshua redman

「TRIOS LIVE」(NONESUCH RECORDS 7559−79561−7)
JOSHUA REDMAN

 これはめちゃくちゃいいよー。あれはね、いいけどね、じつはグレゴリー・ハッチンソンのドラムがいいんだよねー、本人はあいかわらずなんだけど、よく聴こえるんだよ、とかいう意見を言うひともいると思うが、私の感想としては、やはりジュシュア本人がすばらしいのだ。スタンダードからオリジナルまで、テナー主体に、ときにソプラノも交えて、吹いて吹いて吹き倒す。明確なアイデアに基づいて即興的に組み立てられたフレーズをきちんとしたアーティキュレイションと見事な音色で表現し、ドラムやベースにいくら煽られても、それにきちんと応えて燃え上がっていく。そういうのがジャズであり、ジャズテナーじゃないんですか。それを最良の形で実現しているのだから、文句のつけようがないと思う。こんなことを書いているのは、ネットを見るとあいかわらずジョシュア嫌いのひとがけっこういて、さすがにそういうひとも本作は評価するだろうと思ってたら、やっぱり頑ななのだった。たしかにジョシュアの音楽は「サックスミュージック」ではあるが、それだったらギターミュージックだってあるじゃん。また、ソロ主体の音楽であることもたしかで、バンド表現に重点を置く「現代ジャズ」とは相反するやり方かもしれない。でも、テナーというのはそういうものです。バンドを引きずり倒し、激しく俺が俺がと自己主張し、唸り、ブロウする姿に私はひかれる(もちろんそういうテナーばかりではないけどね)。ジョシュアは、テナー(とソプラノ)一本あれば、そして、腕のある共演者がふたりいれば、これだけ人の心を動かすすごいことがいくらでもできるんだよと証明してくれているのだ。クリシェや指癖はほとんど聴かれず、ひとつのアイデアを思いつくとそれを発展させ、だれも思いつかないような形で展開し、つぎにつなげていく。全編ずっとチャレンジングな姿勢で通している。誰がなんと言おうと、このアルバムのジョシュアはかっこいいよ。もちろん、ハッチンソンのドラムは最強だし、ベースもすばらしい。ラストのアンコール曲(?)のツェッペリンの曲も気合いの入ったシンプルなジャズロックでいいですね(締めくくりもめっちゃかっこええ)。たぶんこのライヴ、実際に目の前で聴いてたら、少なくとも自分は狂喜乱舞したと思う。ジョシュアが高音部でときおり見せるハーモニクスのぎゃおおっという表現聴いてるだけでも幸せだ。