「THE CHASE」(UBUNTU MUSIC UBU0005)
LEO RICHARDSON QUARTET
全然知らない白人テナーマンだが、めちゃくちゃかっこいい。アップテンポの1曲目のテーマの吹き方からして、もう惚れる。テナー奏者のリーダー作なのに1曲目の先発ソロがベースというのも笑えるが、そのあと登場するこのひと、柔らかい音色で低音から高音まで自在に吹きまくる。アーティキュレイションもばっちりで、私の好み。しかし、フレーズはハードで聞き惚れる。全曲レオ・リチャードソンのオリジナルだが、どれもハードバップっぽい曲ばかり(しかも、ええ曲ばっかり)。でも心配いりまへん。ソロは現代感覚で、心憎いほど隅々まで神経の行き届いた、そして、迫力に満ちたものでわくわくする。バップフレーズを組み合わせたもの、といえばそれまでだが、結局センスが問われるのだなあ。3曲にトランペット(めちゃ上手いです)が、そしてラストの「ミスター・スキッド」という曲にはあのアラン・スキッドモアがゲストで入っていて、どちらも好演である。スキッドモアは自分にとってグレイト・インフルエンスである、とライナーで書いていることでもわかるとおり、イギリスのひとらしい。スキッドモアは衰えんなあ。ジョン・サーマンもだが。イギリス勢は鍛え方がちがうのだろうか。とにかくかっこいいので、ハードバップアレルギーのかたも、ハードバップ大好きのかたも一度聞いてみてください。ほんとはこの手のアルバムはジャズ喫茶で聞くのがいちばん良いように思うけどね。傑作。