「MO’ GREENS PLEASE」(BLUE NOTE BST84128)
FREDDIE ROACH
ブルーノートのオルガン作品のなかでもぴったり私の好みにあうアルバム。フレディ・ローチのオルガンもすばらしいが(このころは、適度にファンキーなのだ)、こんラッ度・レスターというよくわからんテナー奏者がこのアルバムの企画意図にばっちり合っていて、ほんとすばらしい。どちらかというと、それほど個性的ではない、テクニックを見せびらかすようなタイプでもない、木訥に不器用にしかもある程度流麗にフレーズをつむいでいく感じで、しかし、楽器もよく鳴っているし、フレージングも歌心優先で好感が持てる。タレンタインとかモブレーとかの大物を持ってこなかった点もよかったのだろう。また、ジョー・ヘンダーソンとかでもこういう結果にはなるまい。あくまで本作の幅、深み、音楽性にはまったのがコンラッド・レスターだったのだ。最高の相性だった。一曲目を聴いただけでそのことが実感できると思う。タイトルやジャケット写真は、貧乏だったローチが慈善事業の無料メシにありつくとき、「すんまへん、もうちょっと豆をたくさん入れとくなはれ」と言ったときに、そうしてくれたオバハンのことらしい。そういうバックグラウンドを考えてもしみじみする。個人的にはフレディ・ローチのなかでもっとも好きな作品です。