eric roth

「PROGRAM 16」(ROSCO RECORDS ROSCO001)
ERIC ROTH

最初に聞いたときはデイヴ・レンピスのリーダーによるトリオだと思っていたが、じつはドラムのエリック・ロスがリーダーなのだ。曲も、全曲ロスのオリジナルでなみなみならぬ気合いが感じられる。だが、演奏を聴いた印象はやはりレンピスが主導権を握っているようだ。強烈なドラムと強烈なベースを得て、デイヴ・レンピスが縦横無尽に吹きまくる……という感じ。基本的にはアルトが主でテナーはあまり使っていないが、どちらも効果的。線の細さや頭でっかちな部分がまったく感じられず、技術力とあいまって、テクニカルかつプリミティヴな世界が繰り広げられている。個性もあるし狂気もあるし歌心もある。サックスの鳴りもオーバーブロウにならないあたりでとめる点がいかにも彼の楽器演奏に対する美学を見る思いで、とてもいい。ドルフィーをはじめとするフリージャズの先人を連想させる部分もある。そういったものが、最初からすべて備わっている天才的なプレイヤーもフリージャズの場合はけっこういるが、レンピスはかなりの努力のすえ、こういった表現を身につけてきたのだと思う。レンピスのことばかりでは片手落ちなので、リーダーについても書こう。ええ曲を書くひとだが、そのプレイもすばらしいし、ベースもめちゃめちゃいい。このふたりもこれからガンガン出てくるひとだろう(というか、私が知らないだけで、もう超有名だったりして)。シカゴの精鋭たちによる傑作だと思います。