「天罰」(KAMPAI RECORDS KR−2)
SADATO
このアルバムに参加しているあるひとと知り合いになり、その縁で当時入手した記憶があるが、なんやねんこれ、といった印象だった。わざとなのか天然なのか、ひじょーにチープな曲、チープな音づくり、チープな演奏なのである。そこに諧謔とブラックユーモア、そして怒りが詰め込まれていて、はじめて聴いたときは安っぽいパンク、というようなイメージだった。曲がどれも短いのも、主役のSADATOがテナーをちょろっとしか吹かないのも物足りなかった。しかし、購入してから20年以上を経て、こんにちの耳で聞き直すと、えっ、というほど印象が変わっていて、これはこれでとてもいいと思った。ジャズ畑でいえば、ケシャバンの一時の作品などにも通じる過激なポップさとアイロニーがあり、それらがオブラートにつつまずにかなりストレートに出ている点もおもしろいし、作曲・編曲の才能もたしかにある。というわけで、はじめて聴いたときの印象なんかあてにならんなあ、とあらためて反省した次第であり、先日、そういう反省をこめて、お茶の水のユニオンの中古コーナーで「CHA−CHA」というアルバムを買ってしまったであります(300円なり)。