anders savanoe

「DUETS」(ANDERS SVANOE)
ANDERS SVANOE/JOHN IRABAGON

 アルト〜テナー〜バリトンを吹くマルチリードのアンダース・スヴァノー(と読むのか?)とジョン・イラバゴンのサックスデュオ。イラバゴンはテナーのみ。レーベル名は個人名で、本作はCDRである。名前から、ヨーロッパのひとかと思ったら、アメリカのミュージシャンだった。本作での演奏を聴くと、非常にオーソドックスなプレイヤーかと思ったら、本作はなんとロスコー・ミッチェルに捧げられており、しかもこのひとはロスコー・ミッチェル・アンサンブルで活躍し、アルバムも何枚も入っているのだ。そして
ネットで調べてみると、共演者にはエヴァン・パーカーやバリー・ガイをはじめとするフリー系のつわものがずらりと並んでおりなんだ、そういうひとかあと思ったら、一方ではソニー・レッドをはじめとする超オーソドックスなひとたちとも数々の共演歴がある。まあ、そんな知識はどうでもいいことであって、とりあえず聴いてみたのだが、なるほどめちゃくちゃ上手い。イラバゴンが上手いのはよくわかっているが、このスヴァノーというひともやたらと上手い。しかし、イラバゴンは時折めちゃくちゃな世界に突入し、メーターが振りきれる瞬間が多々あるのだが、スヴァノーもそういうときには合わせて高音部をキーキー鳴らしたりする。しかし、見切りをつけるのが早い(変な表現だが)。すぐに、ちゃんとした世界に戻ってきてしまい、まだイラバゴンがこれからどんどんこのめちゃくちゃの先を追及するもんね、と言ってるのに、リズムやリフを吹き出したりする。イラバゴンは、まだもうちょっとギャーギャーいわせたいんだけどね、という感じで戻ってくる。そんな場面が多々あったように思う。まあ、ミュージシャンとしての体質の違いだとは思うのだが、ロスコー・ミッチェルとやってるひとにしてはものすごーく真面目な感じがする。サックスデュオとしての予定調和にはまってる……といったら失礼か。もっとはみ出す場面を聴きたかったようにも思うが、これは聴き手の好みということでしょうね。入手してから5、6回聴いたのだが、どうも入ってこないんです。すまん。