「FEAR MAY BE A BUILDER」(PRIMARY RECORDS PR009)
KILLER BOB
ペットボトル人間のギタリストデイヴ・スキャンロンのバンドで、今は「JOBS」というバンド名になっていて、若干メンバーも変わっているようだが、このアルバムのころは、MAX JAFFEのドラム、ROB LUNDBERGのベース、STEVEN LUGERNERのサックス(全曲参加ではない)という編成である。とにかく曲が面白くて、それはペットボトル人間でも先日の吉田野乃子とのデュオでもそうだったのだが、突拍子もない曲を書くひとで、つぎはどんな曲かな、とそれだけでもわくわくする。7曲目とか12曲目なんか「なんじゃこりゃーっ」という感じなのだが、こういうユーモア感覚のある曲も書くのだよねー(吉田野乃子、有本羅人とやっていた、数字を口で言っていくだけの曲とか)。17曲目のしゃべりは、なんとなくシリアスに聞こえる(よくわからない)。しかも、とにかくものすごく引き出しが多くて、アイデア豊富。さまざまなタイプの曲が並んでいるので、飽きることなくどんどん聴ける。ジャズもロックも前衛もノイズも即興もチェンバーミュージックも……なにもかもここでは等価だ。しかもグルーヴがあるので楽しい。全部でひとつの組曲のようにも感じる。サックスのひともすばらしい。手作り感も好ましいアルバムでした。43分の音楽の冒険。傑作。