「BACCHUS SWING」(TRIO RECORDS PA9753)
YUZURU SERA
いやー、正直言って、この手のアルバムはだいたい手放してしまったのだが、この作品だけは売る気にならんかったなあ。ほかの世良譲のアルバムはクラリネットが入っていたり、とあまり食指が動かず、聴いてみても、ふーん、という感じなのだが、本作だけはどういうわけかものすごく好きで、百回ぐらい聴いたと思う。この心境というか好みが、自分でもよくわからない。たぶん、一曲目のブルースがいいんだろうな。これにすっかり参ってしまって、そのまま全部聞いてしまうのだ。普段、こういう音楽を聴くことはほとんどないが、だからこそほんの少ししか所持していないこの手の作品に愛着が湧くのだろう。世の中にはピアノトリオのファンが多く、管楽器が一曲でも入っていると、あ、それいらないよ、というひともいるみたいだが、そういう感覚はさっぱりわからない。私にとっては、管楽器が(というかテナーが)いてこそのジャズなのだ。でも、このアルバムはひそかに愛好しておる次第であります。ええもんはええ。