「PIVANE POUR UNE INFANTE DEFUNTE」(EAST WIND EW−8060))
THE L・A・4
考えてみれば、このLA4というグループはすごいメンバーである。バド・シャンク、ローリンド・アルメイダ、レイ・ブラウン、シェリー・マンというピアノレスカルテット。その昔、「ビリンバウ・キャリオカ」という曲をラジオで聴いて、それが私にとってのビリンバウ初体験だったのだが、すごく感銘をうけたその演奏がこのLA4のものだった。本作は、表題曲の「亡き王女のためのパヴァーヌ」をはじめ、「枯葉」「コルコバード」「ウェイヴ」「サンバ・デ・オルフェ」……などを演奏しているのだが……なんでわしがこんなレコード聴かなあかんのじゃいっ! と叫びたくなるような、今の私にとっては数百万年ほど遠いアルバムであった。私は、フリージャズやインプロヴィゼイションだけでなく、ふつーのジャズも好きだが、これはないわ。なんでこんなアルバムを持っているかというと、あるひとにもらったからであり、なんで今回聴いたかというと、この企画が、手近に置いてあるレコードやCDを順番に聴いていくという趣向だからで、このアルバムだけオミットすることはできなかったからである。あるひと、というのは大学時代に一緒にバンドをしていたギター弾きだが、彼が、もうレコードは処分する、というので大量にもらったなかの一枚なのである。そのほとんどは中古屋に売ってしまったが、ちょっと興味をひかれたやつや、欲しかったけどもってないやつなどは売らずに置いておいた。その一枚なのである。なんで売らなかったかというと、さっき書いた「ビリンバウ・キャリオカ」のことがあったのと、選曲にちょっと興味をひかれたからで、結局、「好きなひとは好きなんでしょうが、私が今きくアルバムではなかったです」としか言いようがない。だれが書いたのか知らないが、帯のキャッチ「ロスアンゼルスの陽光のように、キラッとした快演。呼吸音、リードの振動音、アルバムのなかの音のすべてが透明。突き抜けるようにクリアーなLA4の熱演に、おもわずため息がもれます」という文章は読んでいる私がめちゃめちゃ恥ずかしいのだから、きっと書いているほうも赤面していただろう。なお、4人対等のバンドだが、一番先に名前が出ているバド・シャンクの項に便宜上入れた。