「IN THE LAND OF THE CROSSROAD」(ROOSTER BLUES RECORDS R72624)
EDDIE SHAW
エディ・ショウといえば、先輩ヒューバート・サムリンとともにハウリン・ウルフの番頭格として晩年のウルフバンドを支えたテナーサックス奏者で、ウルフの遺作「バック・ドア・ウルフ」でも参加曲は一曲だが、作詞・作曲面で大いに寄与している。ラーセン(ですよね?)のメタルをくわえてグロウルするその雄姿は、なんとも「ごつい」感じだが、ウルフ亡きあともこうして「ウルフ・ギャング」バンドを率いてウルフのシカゴブルースの伝統を守っている。ここに参加しているのはたった4人で、ギターはおそらく息子のヴァーン・ショウ・ジュニアだが(大活躍!)、エディ・ショウはヴォーカルにテナーブロウにハーモニカにそして作詞・作曲にと八面六臂の活躍である。しかも、そのすべてがめちゃくちゃかっこいい。ホンカー的にテナーに焦点を当てて吹きまくることはないが、どの曲でもこのひとのテナー(もしくはハープ)が登場すると雰囲気はいきなり全盛期のシカゴブルース時代に引き戻される。ヴォーカル、ギター、ハープ……などに比べてスポットライトが当たることが少ないブルースサックスだが、A・C・リードの上手さ、達者さに比べて、より武骨でイナタいエディ・ショウのブルースが存分に楽しめるすばらしいアルバム。セッションというのとはまるでちがい、4人編成だがどの曲もしっかり編曲されていて飽きさせない工夫がほどこされており、そのベースにはいきいきとしたシカゴブルースの大河が流れている。凄いゲストとかビッグネームを入れずにシンプルなロードバンドだけでの演奏が功を奏したアルバムだと思う。なんといってもエディはウルフだけでなく、マディともマジック・サムともオーティス・ラッシュとも演奏した猛者なのだ。7曲目の4ダンキン・ドーナツ・ウーマン」という曲がおもろい。歌詞にしょっちゅう「サキソフォーン」という言葉が登場するが、それぐらいエディ・ショウはブルースとテナーサックスを愛していたのだと思う。ドラムもかなりの手練れで、たぶんブルース業界では有名なひとなのだろう……と調べてみたら、このひと、1931年生まれの凄い経歴のひとでありました)。10曲目の「シカゴ・マン」という曲はインストでエディ・ショウ親子のテナー〜ギターがフィーチュアされるが、なかなかほほえましい。真正面からのシカゴブルースからファンキーな曲まで楽々とこなしている。エディ・ショウにはほかにもリーダー作があるが、うちにはいまのところこれしかありません。でも、ほかのも聴きたいよなあ。傑作!