shuji soh

「NO PROBLEM AT ALL」(地底RECORDS B−6F)
SOH BAND

 SOHバンドを私が知ったときはすでにドラマーでリーダーの宗修司さんは亡くなっておられたので、CDで聴くしかなかった。1枚目であるこのアルバムは、全てリーダー宗修司によるオリジナルで固められており、そのすごい作曲力には驚く。どれもかなりアクが強いというか個性的な、一度聴いたら忘れられないようなものばかりだが、演奏するのはなかなか骨が折れると思う。ひとつの曲のなかにリズムも雰囲気も異なるさまざまなパートがあったり、変拍子だったり、ノイズっぽかったり、ベタだったり、フリージャズ的だったり、シャレオツだったり……とアイデアを惜しみなくぶちこんでいて、耳を奪われる。そのコンポジションをベースに、超強力なメンバーがテクニックと音楽性のすべてを突っ込んで、異常な集中力で怒濤のごとく演奏するのだ。面白くないわけがない。最初はファンである竹内直のテナーやフルート、バスクラにばかり耳がいっていたが、だんだん聴き込むにつれて、これは全体を聞くべき音楽(あたりまえだ)だな、と気づいた。いや、ジャズとかにくらべてはるかに「バンド」なのだ。全員による緊密なコラボは、ひとり欠けたら成立しないほどのもので、それなのにリーダーでコンポーザーであった宗が急逝したのだから、あとは当然バンドは空中分解するしかないはずだが、宗のカリスマ性というべきか、バンドは存続した(でも、その音を聞いていないのです)。それもまたすごいことです。ここに収められた曲のなかではなんといっても3曲目の「エニシング・ウィル・ドゥ」が沖縄風お祭り+叙情の融合というとんでもないアクロバットがなされていてめちゃくちゃかっこいい。全員がすごいスーパーバンドだが、特筆すべきはやはりリーダーの激烈なドラミングで、7曲目で聴かれるように、全身全霊をこめて打ち鳴らされる。とにかくたいへんなエネルギーが注ぎ込まれており、それが聴衆に向かって洪水のように押し寄せてくる。こちらも燃えるしかないのである。傑作。