colin stetson

「STONES」(RUNE GRAMMOFON RCD2136)
COLIN STETSON & MATS GUSTAFSSON

 コリン・ステトスンというバスサックス奏者は名前はどこかで聞いたことがあったが、実際に音を聴くのははじめてのはずで、それだけでもわくわくした。はじめてのミュージシャンを聴くときはいつもわくわくする。しかも、マッツのバリトンとのデュオということで、これは期待がふくらみまくる。CDのレーベル面は真っ白で、なんじゃこれは、ミスプリちゃうかと思ったが、札幌のJOEさんによると、このレーベルのレーベル面はいつもなんかの色一色で、文字は印刷されておらず、今回はそれが白だったということでしょうとのことだった。うーん、これまでルネ・グラモフォンは何枚も買っているが、レーベル面が単色で文字が印刷されていないという記憶はまったくなかった。いつもいいかげんに聴いているからであろう。とにかく、本作は低音同士のガチンコ対決で、ひたすら純粋にふたりが吹き合うというギミックなしの即興ですがすがしかった。もちろんいろいろとバラエティと言うかバリエーションがあって最初から最後まで飽きることはないし、こういう趣向のときにありがちな「即興演奏のルーティーン」みたいな予定調和に陥ることもなく、さぐりあいに終始することも、でかい音や絶叫だけのぶつけ合いになることもなく、瑞々しいアコースティックな音がいきいきと跳ねている。ときには感心したり、手に汗握ったり、興奮したり……非常に古い形のフリージャズサックスデュオだと思うが、こういうものはすばらしいミュージシャンの手にかかると今でもこうして新鮮で楽しくかっこいい演奏になりうるのだなあと思った。爆音、轟音、騒音、そしてそれを操る技術と音楽性。とてつもないエネルギーを感じる。シンプルだが味わい深く、無限の広がりがある。低音フリークは聴きましょう。