「SWING LOW,SWEET SPIRITUAL」(CAPITOL RECORDS TOCJ−50213)
JACK TEAGARDEN
たまーーーーーにニューオリンズジャズとかトラッドジャズを聴きたくなることがあって、そういうときはルイ・アームストロングとかジェリー・ロールとかは聴く気になれない。なぜかジャック・ティーガーデンやジョージ・ルイスをチョイスしてしまう。おそらく、サッチモやジェリー・ロールは「サッチモを聴く!」という身構えた感じで、ミンガスやコルトレーン、ドルフィーなどを聴くときと同様の「姿勢」が必要だが、なんとなくオールドジャズを聴きたいなあという気分というのはそういう姿勢とは相反して、つまり、リラックスしたやつを聴きたいということなのだ。そういう心理状態にふさわしいのは、このジャック・ティーガーデンやジョージ・ルイスということになる。そもそもトランペット(やコルネット)という楽器が、あまりリラックスさせてくれない。でも、トロンボーンなら可。というわけで、この手のジャズについてはなんの知識もない私だが、たまーーーーーーに聴くために持っているアルバムである。このアルバムはビッグバンド編成でボーカルグループもバックにつき、たいへんゴージャスな吹き込みである。トランペットにひとり、めちゃめちゃ鳴るひとがいて、すごく気持ちいい。本格的なビッグバンドサウンドのアレンジになっているのだが、ジャックTはいつもとかわらずのんしゃらんとしたボーカルにトロンボーンに、「ええ味」をかもしだす。本作はタイトルどおり、スピリチュアル〜ゴスペル系の曲を集めたもので、おなじみの曲もかなりある。しかし、聴いてみると、よく知っている曲だろうが、知らん曲だろうが、まったく同じようなクオリティで全曲を聴かせてしまうジャックTのクオリティというのはすごいとしかいいようがない。傑作だと思います。また、つらいとき、しんどいときにひっぱりだして聴こう。