「SUSPENCIONS AND ANTICIPATIONS」(PSI RECORDS PSI04.02)
STAN TRACEY/EVAN PARKER
なにげなーく買って、なにげなーく聴いて驚いた。エヴァン・パーカーが全編テナーで通しているのである。そういうアルバムもあることはあるが、それらはたいがい、テナーオンリーであることを標榜している。本作は、なにげなーくテナーなのだ。そして、肝心の内容だが、うん、これは傑作だ。お互いのソロ曲もあるのだが、基本的にはデュエットピースが続く。ときに激しく、ときにリラックスして……というのは即興の基本だが、その基本を露骨に目の前にどんと置かれた感じ。テナーの音というのが、野太く、低く、決してキーキーいわないので、それが安定感につながる、ということもあるかも。このアルバムが即興ファンにとってどういう位置づけかは知らないが、私にはどんぴしゃりでした。何度も聴こうっと。ジャケットも良い。