「NEW ORLEANS MUSIC!」(MARDI GRAS RECORDS MG1115)
THE TREME BRASS BAND
ジャケットを見て、なんちゅうジジイや、とびっくりした。インターネットでホームページを見てみると、なるほど、若いメンバーもいるにはいるが、基本的にジジイ集団なのだ。そして、聴いてみると、やはりヨレヨレのところもある。しかし! 聴いているうちに、なんじゃ、このノリは。ニューオリンズブラスのなかでも、ここまでのリズムはなかなかでまへんで的な最高のノリである。そして、ちょっと合わないアンサンブルも、じわじわと快感になってくる。いやー、これはええわ。うまさとかテクニックとかを前面に押し出した音楽ではなく、ブラスバンドというものが、人間が太鼓を叩き、金属や木ぎれに息を吹き込んで形成している、温かい音楽だということを思いださせてくれる。まさにタイトルどおり「ニューオリンズミュージック!」と「!」マーク付きで叫びたくなる。選曲も渋いなあ。ニューオリンズクラシックから「マック・ザ・ナイフ」などのスタンダードから「カレドニア」などのジャンプチューンからデキシーナンバーから「アメイジング・グレイス」などのゴスペルまで幅広いが、すべてを彼らの色にべたべたに染めてしまっているのは見事。マリ・ワタナベという日本人がピアノでゲスト参加している。
「GIMME MY MONEY BACK!」(ARHOOLIE 417)
THE TREME BRASS BAND
ニューオリンズのジジイ(だけじゃないけど)ブラスバンド、トレメブラスバンドのアルバム。傑作と名が高いというが、そういう先入観なく、ぼやーっと聴いた。いやー、すばらしいです。ジャケットにはジジイばっかり写っているが、音は年寄りくさくない。それどころか、めちゃめちゃ跳ねまくるリズムは信じられないほどの快感。棺桶(?)のまわりに集まって演奏しているという趣味がいいのか悪いのかわからんジャケットもイナタいけど、選曲もオリジナルや有名曲、トラディショナル、賛美歌、スタンダードなどバラエティ豊かで飽きない。基本的には新しめのファンク(というかロック?)リズムのものもあるのだが、それがどうしようもなくイナタいんです。基本的にはニューオリンズの跳ねる4ビートで、もろにデキシー的な演奏もあり、心なごむ。しかし、なごんでばかりはいられない、というか、このリズムには自然に身体が動いてしまうのだ。それもかなり激しく。すごいなあ、こういう演奏には古いとか新しいとかはない。ただただ、おもろい、かっこいい、ええ音楽である。ソリストが多少荒っぽくよれよれだったりするのもぜーんぜん問題ない!