charles tyler

「MID WESTERN DRIFTER」(BLEU REGARD CT1942 590134)
CHARLES TYLER

 チャールズ・タイラーというひとはかなり古くから活動しているひとだが、アルトが主奏楽器なので私の興味の対象からは外れていた。しかし、本作を聴いて、なるほどこういうひとだったのか、なかなかええやんと認識を改めた。私は、広くて深いジャズの大海のなかでも、基本的には「テナーサックスが主体のフリージャズ」しか聴かない、というとんでもなく浅い聴き方しかしていないので、こういった出会いは大事である。一曲目、いきなりボーカルからはじまるが、それによって全体の雰囲気がセッティングされる。ピアノトリオをバックに、チャールズ・タイラーはアルトをシンプルに吹く。ジミー・ライオンズとセシル・テイラーに捧げた曲に代表されるようにときには激しくブロウし、モンクの2曲に代表されるようにときにはメロディに寄り添うように吹く。本作が遺作だそうだが、アルトのサウンドは決して個性的とはいえないが、音楽全体によってワンアンドオンリーの強烈な個性を発揮している。得難いミュージシャンだったように思う。合掌。