masahiro uemura

「P.O.N.」(CREATIVEMAN DISK CMDD00001)
P.O.N.

 このアルバムは聴いたことなかったが、いやー、死ぬほどよかった。めちゃよかった。植村昌弘のリーダーバンドP.O.N.による、その名も「P.O.N.」というアルバム。全曲リーダー植村昌弘の曲で、それがまためちゃくちゃええ曲ばっかりなのだ。いやー、もうものすごいかっこいい曲に、かっこいいアレンジ、そして只者ではないメンバーたちによるエグい即興の数々(インタープレイもすげーよ)。こんな気持ちのいい音楽あるかーっ! 曲とアレンジはよく聴くと相当難しそうで、気を抜けないが、聴いているだけなら、ただただ心地よい瞬間が流れていくだけである。ちなみにメンバーは広瀬淳二、鬼怒無月、清水正樹、高良久美子、そしてリーダーの植村昌弘で、ゲストとしてヴァイオリンの金子飛鳥が入っている。この絶妙の人選! 全員が凄すぎて、もうピザのうえにお好み焼きを乗せ、そのうえにチヂミを乗せて、そのうえにホットケーキを載せたような状態である(なんのこっちゃ)。ギターが炸裂し、ビブラフォンやブロック等が疾走し、ベースがドスの利いた暴れ方をし、リーダーのドラムが全身全霊で爆音のキメを叩く。エグい。かっこいい。楽しい。何遍聴いても感想は一緒。ただただ呆れる。しかし、個人的に特筆すべきは広瀬さんのテナーとソプラノで、はまりすぎるほどはまっている。いやー、すごいすごいすごすぎる。上手いのはもちろんだが、ここぞというときのスクリーミングやマルチフォニックスの音色の快感はなにものにも替え難い。あー、極楽! 怒濤のソプラノも上手過ぎる。鬼怒さんはアコースティックだと思っていたらエレキになったりと変幻自在。そして、思い切りのいいドラムが全体を支えている。曲は、変拍子だったり、ダイナミクスがきつかったり、ミニマル的だったり、フォーキーだったり、幻想的だったり、ハードロック的だったり、フリーインプロヴァイズド的だったり……とさまざまだが、とにかくコンポーザーとしての能力が高すぎる。こうなるともう音絵巻やな。パーカッションも全編ええ味出しまくりなのだ。ヴァイオリンは2曲に参加。とくに9曲目ではアコースティックヴァイオリンが大フィーチュアされている。曲名も独特で「ユーミン♯3」とか「ジョージ2世♯8」とか「ユーミン♯5」とか……わけわからんが聴いてみてもなんでこんな曲名かはまるでわからんのだ。とんでもない大傑作なので、みんな聴きなはれ!