「COME TO PAPA」(EVIDENCE MUSIC ECD 26108−2)
CARL WEATHERSBY
なんでこんなもの(といったら失礼だが)を持っているかというと、読んでいたブルース雑誌でめちゃくちゃほめてあってこれはもしかしたらすごいかもしれない、と思って買ったのだが、たしかにめちゃくちゃ凄い。カール・ウェザーズビーのボーカルとギターはほんとにすばらしいし、メンフィスホーンズ(ええ仕事してます)も入ってるし、オルガンは(急逝した)ラッキー・ピーターソンだ。1曲目はなんとアン・ピーブルズが入っていてウェザーズビーとボーカルをわけあっている。豪華絢爛で作り手側のやる気を感じる。曲はブルースというよりファンキーなR&Bで、ブルース形式の曲はほとんどないのだが(12曲中、6曲目の倍の尺のスローブルースと8曲目のアルバート・キングのファンクブルースとラストのチャールズ・ブラウンの「ドリフティング・ブルース」の3曲だけ(11曲目も変則ブルースと言ってもいいかもしれないが)、まあ、ブルースがベースになっている音楽であることは間違いない。このひとのギターを聴いていると、アルバート・キングというか、スクイーズギターをサックスのように使って歌わせる感じ(ド素人の言なのでまるっきり外れてるかもしれません)でかっこいいし、心地よい。ファンキーで躍動感があり、正直、ギターというものをあまり聴かない、というか、あまり興味のない私でも、いやー、これは……と思う。どの曲も「かっこええやろ。気持ちええやろ」と言いながら全メンバーが怒涛のごとくこちらに音をぶつけてくるようだ。1曲目のラッキー・ピータソンのえげつないオルガンソロを聴いて心を動かされないひとは少ないのではないか。とにかくどの曲も聞かせどころをちゃんと作っていて、聴いていて飽きない。超有名なひとだが、私はあるときから現行のブルースとかR&Bとかソウルを聴かなくなってしまったので(古いのは聞くんですけどね……)、このひとにこうしてがっつり接することができたのはありがたかった。でも……もう20年もまえなのである。びっくり。傑作です。