「BLACK RENAISSANCE BODY,MIND AND SPIRIT」(LUV’N HAIGHT LHCD037)
便宜上、harry whitakerのところに入れたが、ジャケットにも背にも裏ジャケットにも、誰のリーダーアルバムであるかは明記されていないし、バンド名も書いていない。CD自体にharry
whitakerと書いてあるのが手がかりである。しかし、今から考えると、たいへんな豪華メンバー。コーラス隊を配したソウル〜ファンクジャズの傑作! という意見もあるだろうし、ただの陳腐なジャズロックという意見もあるだろう。個人的にはあまり楽しめない。わが最愛のトランペットであるところの、肝心のウディ・ショウのソロがいまひとつピンとこないからである。ストーリーを語るというより、マイルスのようにアブストラクトな音塊をファンクリズムやコーラスによって形作られる音世界のなかにばらまいている感じ。サックスのふたり、とくにデヴィッド・シュニッターはかなりがんばっていて、おおっという部分も多いのだが、曲全体としてはだれる箇所があちこちにあり、印象は薄い。あるいはこういう聴き方自体がまちがっているのかもしれないけど。
──という感じだったのだけど、今回聞き直してみると、びっくりするぐらい印象がちがっていて、ウディ・ショウのソロはかっこいいし、サックスもデヴィッド・シュニッターではなく、もうひとりのエイゾー・ローレンスが荒くれな感じでがんばっていて、すごくよかった。うーん、やはり耳というのは馬鹿なものだなあと思った次第。ジャズ評論家って、常に正しい評価をくだせるのかなあ。