「BARNEY」(BMG74321454092)
BARNEY WILEN
聴かず嫌いというわけではないが、長年ジャズを聴いていても、なにしろ星の数ほどミュージシャンはいるので、なんとなくきっかけがなくて食指が動かないまま、ずっとすれ違い状態というひとがいる。私はほとんどテナーしか聴かないし、最近はフリー系しか聴かないので、近頃山のように出ている新人ハードパッパーについてはまったく関心もないし、たぶんこの先も聴くことはないと思っているが、いわゆるジャズジャイアントと呼ばれるような有名人については、いっぺんぐらいは聴いておきたいと思っている。しかし、このバルネ・ウィランについては、カムバック(?)後のアルバムをちょろっと聴いた程度でほとんど未聴に近かったのだが、今回、東京の某中古コーナーで、何を思ったのか、ふっとこのアルバムを手にしたのが運命というか何というか……聴いてみて、これまでの未聴を後悔しました。いやはや、すごいじゃありませんか。音もたくましく、フレーズは歌いまくりだし、アーティキュレイションもよく、リズムへのノリもいい。つまり、非常に黒人的でありまして、知らずに聴いてたら黒人のハードバッパーかと思うのではないか。共演者のドーハムもめちゃめちゃよくて、自分のリーダー作でもなかなかないような好演なのだが、ウィランがそれに一歩もひかぬ感じで応じているのがすごい。リズムセクションもよくて、ほんと、一時期はこのアルバムばっかり聴いていた。曲も、「ブルー・ボッサ」、「ロータス・ブロッサム」、「ベッサメ・ムーチョ」、「ジョードゥ」などマイナー系の有名曲が多くて日本人好みのアルバムだと思います。