sonny boy williamson

「DOWN AND OUT BLUES」(CHECKER LP1437)
SONNY BOY WILLIAMSON

 多くの皆さんと同様、私も、このジャケットで寝そべっている髭のジジイがサニー・ボーイだと思っていた。でも、たぶん本人もこんな感じじゃないの? 知らんけど。まさに「ダウン・アンド・アウト」なジャケットで、このジャケットがなかったら、これほど名盤扱いされただろうか……ってされただろうな。内容もすばらしくて、最初はよくわからなかったので、(例によって)何度も何度も聞き返しているうちに、よさがじわじわわかってきた。ほかのチェス盤だけじゃなく、トランペットセッションとかも買ってしまったぐらい。でも、それらはたいがい売ってしまい、残ったのは本作だけ。だって、これで十分ですよ。この一枚のなかにサニー・ボーイの凄さが全部つまっている。一曲目の「ドント・スタート・ミー・トゥ・トーキン」に針をおろすと……うわあ、かっこええ! このリズム感、この声、このハープ……たまらんなあ。私はブルースファンではないのだが、こういった演奏の良さはわかるつもりである。また、わかるようになったことが喜ばしい。学生のとき、ルイ・ジョーダンやアーネット・コブ、サンハウス……などに出会わなければ、きっとブルースのすばらしい世界を知らずに終わったかと思うと恐ろしい(といっても、私の知っているブルースの世界は、ほんの狭いものだが、それでもいいのです)。このアルバム、聴いているうちに、だんだん歌っているサニー・ボーイがジャケットのジキコのおっさんとだぶってくるのだが、彼の歌や演奏が、カメラをにらみつける半裸のこのおっさんの発するのと同じパワーを持っている、ということではないか。たしか、ローランド・カークとも共演しているんだよね。