big jim wynn

「BLOW WYNN BLOW」(WHISKEY,WOMAN,AND……KM−703)
BIG JIM WYNN

 このひとは、ホンカーというよりも、バンドサウンドで行くタイプで、ソロも自分のテナーを大フィーチュア……というより、基本的にはトランペットなどほかの楽器がとり、自分はちらっと吹くだけである。一種のリトルビッグバンドを率いていて、ジャンプ〜R&Bヒットなどを吹き込んでいたひとのようで、ほとんどの曲にボーカルがフィーチュアされている。ビッグ・ジム・ウィンも、タイトルナンバーの「ブロウ・ウィン・ブロウ」にしてからが、テナーではなくバリトンを吹いており、たいしたこともせずに終わってしまうという、看板倒れの演奏なのである。ところが続いて現れるテナーソロはかなり流暢かつ爆発しており(エディ・ロックジョウ・デイヴィスか?)、ビッグ・ジムというひとは、どちらかというとソリストというよりバンドリーダータイプなのかもしれない(B−7の「グーフィン・オフ」というインストでもバリサクを吹いているが、これもコケている。バックとの掛け合いのところなど見事に失敗していて悲しい。バリサクは苦手なのか?)。ただ、どの曲もテナーが本人以外に1、2名加わっているので、正直、誰がソロをしているのかよくわからんが、たとえばB−2の「ジェリー・ケリー・ブルース」の冒頭でイントロ的にソロをするテナーやB−4「フェアウェル・ベイビー」のラストでソロをするテナーは、音の濁らせかたといい、ガツンといく力強さといい、なかなかかっこよく、これがビッグ・ジムならなかなかの凄腕である。いずれにしても、激しいホンクを求めるひとにはちょっとあさってのアルバムだが、こういったちょっとゴージャスなジャンプサウンド(ジョー・リギンズというかロイ・ミルトンというか、私の感覚では、小気味よさのないルイ・ジョーダンみたいなイメージなんですが……)が好きなひとにはちょうどいいかも。ただ、「JWバップ」という曲があるが、まったくバップではないです。そして、うちにはなぜかこのレコード、二枚あるのだった。なんでかなあ……。