mabumi yamaguchi

「MABUMI」(TRIO RECORDS PAP−25004)
MABUMI YAMAGUCHI

 これはほんとに好きな作品で、このアルバムが好きで好きで毎日聴いていた時期があって、山口真文というひとはほんとにすげー、と思い、ほかのリーダー作や参加作品もいろいろ聴いてみたし、ジョージ大塚バンドやプレイヤーズとかも聴いたりしたが、結局、このアルバムがいちばんすばらしいということがわかった。これは想像だが、たぶんかなり地味な性格のひとで、自分をガーッと前面に出すのが嫌い、というか苦手なのだろう。音色はたしかにショーターに似ているが、フレージングや曲も似ていて、普通は○○に似ている、というのはジャズミュージシャンにとってけっしてほめ言葉にはならないが、ショーターというのは似せようとして似せられるものではなく(なにしろ天才ですから)、それに似ているというのは、コピーしたというより、音楽家、芸術家としての本質的な部分に共通点があったというべきだろう。このアルバムはワンホーンで、リズムセクションも考えられないぐらい最高のメンバー(ケニー・カークランド、ヴィトゥス、トニー・ウィリアムス)であり、曲は真文のオリジナルは全部いいし、もう非の打ち所のない作品。たしかにちょっと地味かもしれないが、それでいいのです。その分、聴けば聴くほどじわじわと味の出てくる、スルメのような作品なのである。ジャケットも含めて、購入したとき、これは最高! と思ったものだが、今でもその気持ちはまったく変わらない。