yong yandesen

「HUNGRY GHOST」(NAKAMA RECORDS NKM019CD)
YONG YANDESEN・CHRISTIAN MEAAS SVENDSEN・PAAL NILSSEEN−LOVE

 ニルセンラヴの物販で購入。テナーのヨン・ヤンセン(マレーシア)は何度も来日しており、ベースのクリスティアン・メオス・スヴェンセン(ノルウェー)もニルセンラヴのラージユニットやヤンセンとのデュオで来日している(ビッグアップルでもやったが観にいけず)が、そこにニルセンラヴが入るとどうなるか……というのがこのアルバム。ヨン・ヤンセンは本当にすばらしいテナー奏者で、テナーらしいテナーの音が徹頭徹尾このアルバムを貫いている。音数多く、低音から高音まで駆使してずっと吹きまくっているが、ダレたり、同じことの繰り返しになったりせず、つねにチャレンジする姿勢を示し、新たなボキャブラリーというかネタを探っているのはすばらしいことだと思う。とにかく表現力が多彩で、たとえて言うとビバップにおけるソニー・スティットやジョニー・グリフィンのように何千もの引き出しを自分のなかに持っているフリーインプロヴァイザーである。しかも、高揚と冷静さが同居している。ベースのスヴェンセンもときにはサックスを後方から持ち上げ、ときには前面に出て弾きまくる。ヤンセンとよく似た資質のひとのようで、息がぴったりだ。そして、ニルセンラヴも全身全霊で叩いているのが伝わってくる。見事なトリオミュージックだ。かっこよすぎる。聴き終えるとかなりの疲労に襲われるほどの充実した内容だが、収録時間は実際には39分とけっこう短い。それだけ濃いのである。ジャケットも録音もいいし、大傑作ではないでしょうか。めちゃくちゃ気に入った。