per zanussi

「IIVE IN COIMBRA」(CLEAN FEED CF314CD)
ZANUSSI 5

 3サックスにベースにドラムという編成で、ウッドベースのザヌーシというひとがリーダー(なにか意味があるのかと調べてみたら、暖房機メーカーのこと、とか出てきて、わけがわからなかったが、そのあとベーシストの名前だと気づいた)。なんでこのアルバムを購入したのか覚えていない。たぶんクリーン・フィードの新譜を何枚か買うとき、夜中で酔っ払っていたので、ふと魔が差したのだろう。だから、聴くときにけっこう批評的な姿勢で聴きはじめたのだが、最初のプロローグ的な演奏はともかく、2曲目、勢いのいいただのハードバップみたいな曲がはじまって、うわーっ、失敗したか、と思いながら身体を斜めにして聴いていたが、3曲目あたりから、おっ、これはもしかしたらすごいんちゃう? と思うようになり、ラストの5曲目に至って、万歳三唱していた。いやー、これはすごいわ。3人のサックス奏者が皆それぞれに個性的で、3人ともたぶんジャズをベースにしているのだろうが、かなり変態的なステージに達していてひとがソロをしている横で延々と軋むような音で変なリズムを吹き続けたり、ソロでも循環呼吸でキイキイキイキイ……と耳障りな音でひたすら吹きまくって、「なんぼほどキイキイいわすねん!」と思わずツッコミたくなるような、まあ、「思い切った」演奏をしている。単に、ちょっとフリーキーな音を出したり、マルチフォニックスでノイズっぽく吹いたり……とかではなく、徹底的にやりまくる。こういうプレイが前面にフィーチュアできるというのは、リーダーのベーシストの音楽性というか幅の広さだと思う。ドラムもめちゃくちゃ凄くて、(変なたとえだが)マーク・ジュリアナみたい。そういうフリーインプロヴィゼイション系ではなく、ストレートに凄いドラマーが叩いている。このアルバムはほんと、買ってよかった。こういうことがあるから夜中に酔っ払ってCDを買うというのは正しい行いなのだ(失敗のほうが多いですけど)。なお、このリーダーのベーシストは、(戸畑さんによると)マリリン・クリスペルのCDをレビューしたときに私が絶賛していたそうで、いやー、すっかり忘れとりますなー。傑作です。